どんなときでもぶれずに、そしてしやなかに生きる長谷川京子さん。大人女性の憧れである彼女が綴る、食と暮らしのエトセトラ『長谷川京子 おいしい記録』(集英社)には、自分をごきげんにするためのヒントがたくさん。
めまぐるしいライフテージの変化に息切れしそうな女性に送る、長谷川さんが見出した、自身の“女性性”の愛し方とは。

出典: by.S編集部撮影
20代、30代、40代。“内なる女性性”との向き合い方に変化が

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20代の頃「女性であること」がイヤだった、と振り返る長谷川さん。それは、仕事をする上で不都合に感じる場面に多く遭遇したから。
30代は出産、育児を経験し、“母親”としてすごす時間が主だった。そして40代、子育てを経て得た経験や、確実に変化が生じた体を備えたとき、意識にも変化が。
経験を積み「やっと成熟してきたかもしれない」と多少の自信も生まれて、初めて女性性と真正面から真摯に向き合うことができたんです。
コメント: 長谷川京子さん
「いい大人なのに」「母親なのに」の視線
若い頃は「若いくせになまいき」と言われ、大人になれば「いい大人が恥ずかしくないの?」と言われ、母親になれば「母親らしくない」と言われ。女性はライフステージごとに、足を引っ張る視線がつきまとう。

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わたしもそういう視線は気にならなくはないけれど、人の意見に左右されて生きていくと、なかなか幸せになれないと思っています。揺れ動いて疲れちゃいますよ。かといって、聞く耳は持ったほうがいいし、「わたしはこれがいいの!」と意固地になる必要もないんですよね。
「自分が幸せになるには」を最優先に考えたときに、自分が納得して進むことがもっとも大切で。ネガティブな視線を受けたときには「そういう意見もあるのね」程度に思っておけばいいのではないでしょうか。
コメント: 長谷川京子さん
長谷川さん自身もさまざまな声が耳に入るが、「仕事柄しょうがないけれど、声に潰されると自分がなくなってしまうから、『人に迷惑をかけていないし、正直放っておいて』って思っちゃう」と、軽やかに受け流す術を身につける。

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一方で、自分自身のなかにもそういった視線があるとしたら。
自分で足かせを作ってしまうんですよね。わたしにも多少はありました。
“母親な自分”から“女性性を大事にしたい”と意識するようになるまでに「こっちに行って大丈夫かな」と思いました。でも、転換したい衝動のほうが強かったんです。“転換する自分”しかチョイスがなく、自然な流れで転換したと思っています。
コメント: 長谷川京子さん
自分のなかの足かせを外してスタートラインに立てば、その足取りは、想像よりもずっと軽くなっているはず。
長谷川さんが考える、女性の美しさとは

出典: by.S編集部撮影
クールなかっこよさも、自由を謳歌する開放感も、艶ややかな色気も。そのどんな美しさも備える長谷川さんが考える、美しい女性像とは?
人の話をちゃんと聴いて受け入れつつ、相手の気持ちを想像したうえで、自分の言葉を発せられる人でしょうか。「わたしわたし!」な人は、どんなに外見を綺麗にしていても、幼稚さが消えないと思います。
コメント: 長谷川京子さん
そんな配慮のある人になるために「これをすべし」というひとつの答えなんてないと思う、と長谷川さんは話す。
同じような経験が、どんな人にもそれなりに平等に訪れると思います。その経験をどう捉えるか、どう活かすかで、人間としての器や魅力が養えると思います。たとえば、トラブルがあるとする。それを外的要因にして終わらせてしまうのか。それとも「自分にも非があったのかも」と反省するか。そこに、人間性の分かれ道があるのではないでしょうか。
コメント: 長谷川京子さん
長谷川さん自身も内省する。ただ、後悔はしないという。
そのときの自分がそう決断したんだから、それは「しょうがない」と思うしかありません。そういった経験を重ねてゆき、自分を信頼できるようになれたら、いちばん幸せですよね。
コメント: 長谷川京子さん
長谷川さんが体現する“女性性”には、女性の可能性が豊富につまっている。
『長谷川京子 おいしい記録』(集英社)
2014年冬から2021年夏まで、7年半に渡り毎月書き続けた雑誌「LEE」のエッセイを書籍化した単行本が、9月2日に発売。女優、モデルの顔とは違う、”母としての素顔”が覗く1冊。ユーモア溢れる文章で綴られる飾らない本音から、美しさにうっとりするカラーグラビアまで、長谷川さんの魅力が凝縮。
photo/久保田智
20代は、周囲から“女性”というよりも“女の子”として接せられていると感じていたんです。舐められているのでは、と
コメント: 長谷川京子さん