免疫力を高める食事とは。必要な栄養素・おすすめ食材・簡単レシピを管理栄養士が伝授

新型コロナウイルスの感染予防で、免疫力アップを目指すひとも多いのでは?
免疫力を高める方法として食事や運動、睡眠などが一般的に挙げられるなか、今回は日々の食事で簡単に免疫力をアップさせる方法を管理栄養士の高杉保美(ほみ)さんに伺った。どういった食材が免疫力アップに効果的なのか、その食材を使った簡単レシピまでご紹介。

腸内環境を整えるのが近道!免疫力を高める食事とは?

腸と免疫力は密接な関係にある。腸内環境が乱れると免疫力が下がるだけでなく、メンタルにも影響あり。心身ともに体調不良になり、病気になりやすい状態に。病気まで行かなくても便秘や下痢、肌あれなどの症状が出たら腸内環境が乱れているかも。

腸内には「善玉菌、悪玉菌、日和見菌」という3種類の菌が存在している。これらが「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」の割合で存在するのが理想的な腸内の状態。日和見菌は善玉菌と悪玉菌の量が多い方に加勢する性質がある。悪玉菌が善玉菌よりも優位になってしまうと日和見菌も悪玉化して、腸内環境が乱れてしまう。善玉菌が多い状態を保つために、善玉菌を増やす食材を積極的に摂ることがポイント。

<腸内環境を整える栄養素と食品>

●便通をスムーズにする「食物繊維」
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、働きが違うので腸内環境を整えるためにどちらも必要。水溶性は便のかさましに役立ち、不溶性は腸の動きを活発にしてくれる。水溶性食物繊維が多く含まれる食品は昆布、わかめ、こんにゃく、果物類、大麦など。不溶性食物繊維を多く含むのが、いも類、きのこ類、根菜、大豆、バナナなどが挙げられる。

●善玉菌のエサとなる「オリゴ糖」
オリゴ糖は腸内の善玉菌のエサとなって、善玉菌を増やす働きがある。オリゴ糖が多く含まれる食材は大豆やバナナなど。甘みを足すときに砂糖の代わりにオリゴ糖を使うのも◎。

●腸内の免疫細胞の力を高める「発酵食品」
発酵食品は植物性の食材の方が日和見菌として活用しやすいそう。納豆、みそ、ぬか漬け、キムチなどが良い。

●糖質コントロールで腸活
糖質を摂りすぎると血糖値が上昇して免疫力を担うホルモンが働かなくなってしまう。つまり普段より炭水化物や糖分の量を減らすだけでも免疫力アップになるということ。白米にもち麦やこんにゃく米を混ぜると血糖値が上がりにくく、そもそも白米の量を減らすことができるので糖質コントロールができる。

さらに、低GI食品(食後の血糖値上昇が穏やかな食品)を積極的に取り入れるのも効果的。玄米は低GI食品なので白米を玄米に変えるだけでもOK。
砂糖が入ったジュース類は避け、糖度が高いフルーツの食べ過ぎも要注意。食事で砂糖を摂取するよりも液体のほうが血糖値が上がりやすい。

●体温アップに必要な「タンパク質」と腸内環境改善になる「良質な油」
・タンパク質
ホルモンを生成するのに必要。肉や魚を食べるとタンパク質と一緒にビタミン、ミネラルが摂取できる。DIT(食事誘発性熱産生)によってタンパク質からエネルギーを摂ると、その30%が体熱になるので体温が上がりやすい状態に。

・良質な油
中鎖脂肪酸(ココナッツオイル、MCTオイルなど)は体温保持効果があり、冷え防止にもなる。
オリーブオイルや亜麻仁油はオレイン酸が胃と小腸に吸収されにくく、大腸まで届いて便通を促したり、腸内環境を整えてたりしてくれる。いつもの食事にオリーブオイルや亜麻仁油をかけるだけで腸内環境の改善に。
オメガ3脂肪酸は細胞の炎症を抑える働きがある。アレルギーの緩和にも効果的。
油は摂りすぎるとお腹がゆるくなることがあるので摂取量に気を付けて。

1日に必要な栄養素の目安

免疫力アップに必要な栄養素や食材をどのくらいの量食べるのが理想的なのか。1日の摂取量の目安はこちら。

<タンパク質>
1日に50g以上摂るのが望ましい。
タンパク質は肉、魚、たまご、大豆製品などそれぞれから摂るとビタミン、ミネラルもバランスよく摂れる。意識的に摂らないと不足しがちなので積極的にさまざまな食材から摂取して。肉は豚肉や鶏肉とねぎやニラ、玉ねぎなどの香味野菜を一緒に摂るとアリシンという成分が代謝をアップ。たまごは完全栄養食とも言われていてビタミンやミネラルがバランスよく含まれている。魚はDHAやEPA、ビタミンDが免疫強化に有効。イワシ、サバは良質な油が多い。オイルサーディン、アンチョビなどなら料理に使いやすい。
間食でタンパク質を多く含むヨーグルトやプロテインバーを食べるのもおすすめ。

<食物繊維>
1日に20〜22g摂りたいところ。これは両手1杯分の野菜に相当する。不溶性と水溶性をバランスよく摂取できるのがベスト。

<良質な油>
中鎖脂肪酸、オリーブオイル、オメガ3脂肪酸といった良質な油を1日に大さじ2杯が目安。

自粛期間ならでは!不足しがちな栄養素を補って

<ビタミンC>
自粛中はストレスを感じやすいひとが増える。ストレスに対抗しようとすると体内でコルチゾールが生成されるときにたくさんのビタミンCが使われてしまう。ストレスを感じやすいひとほどビタミンCが不足しがちな状態に。また、喫煙や飲酒の量が多いひともビタミンCが足りていない。ストレスから来る肌あれはビタミンC不足が原因であることもある。

ビタミンCはサプリメントから医薬品までさまざまなものがあるが、医薬品のもののほうが高濃度のビタミンCなのでおすすめ。美容面でも健康面で考えても1日2000mg以上を目安に摂ると良い。ビタミンCは水溶性なので多く摂る分には問題ない。コラーゲンの生成にもビタミンCが必要なので、美肌キープに欠かせない成分だ。ビタミンCはサプリメントでの補給でもOK。サプリメントだと配合されている量や吸収率が医薬品に比べると少ない。

サプリメントで栄養補給をする場合、一般的にカプセルタイプが最も吸収が良いとされている。顆粒タイプは吸収率は高いが、飲みやすくするために糖分が入っていることがあるので要注意。カプセルか錠剤がおすすめ。医師の指導に基づき購入したものであれば、どんなタイプのものでもOK。

<ビタミンD>
冬場は日照時間が少なく、自粛で日光を浴びる時間が短いと体内でビタミンDが生成されにくい。そんなときはきのこ類を積極的に食べて。きのこの種類はなんでもOKだが、なかでも干ししいたけはビタミンDが豊富に入っている。干すときに太陽の光を浴びてビタミンDが凝縮されているというわけ。次いで、きくらげもおすすめ。

<飲酒で不足しがちな栄養素>
自粛モードになってから自宅で飲むことが増えて、逆に飲みすぎてしまうというひとも多い。飲酒が増えたことによって不足する栄養素はタンパク質、ビタミンC、ビタミンB1、マグネシウム、亜鉛など。これらの栄養素をおつまみで補うのがポイント。亜鉛はなかなか摂取しにくいが、魚介類や牛肉に含まれるので意識的に取り入れると◎。

管理栄養士がおすすめ!免疫力アップの食事メニュー

<生姜ココア>
生姜でカラダが温まる。生姜はチューブタイプのものを活用すると手軽。ココアに含まれるカカオポリフェノールが免疫に重要な役割を果たすNK細胞を活性化させてくれる。糖分が少なくなるべくカカオに近い状態のココアを選んで。オリゴ糖で甘みをプラスすると腸に良い。

<オリゴヨーグルト>
プレーンのヨーグルトにオリゴ糖で甘みをプラス。高タンパク質なヨーグルトだと腸活にもダイエットにも◎。

<オリーブオイルヨーグルト>
ヨーグルトにオリーブオイルをかけるのもおすすめ。オリーブオイルは味の邪魔をしないので意外と食べやすい。さらにナッツをトッピングすると栄養バランスもアップ。オリゴヨーグルト同様、高タンパク質タイプのヨーグルトだとダイエット効果も期待できる。

<みそ汁>
発酵食品のみそは腸に良い。入れる具材によってアレンジが効くのも魅力。高杉さんおすすめの具材はきのことバター。バターは乳酸菌が多く、きのこは不溶性食物繊維が豊富なのでどちらも腸内環境を整えるのに役立つ。

<じゃがいもオムレツ、ピカタ>
じゃがいもにはビタミンCが含まれている。たまごは栄養バランスが良い食品でタンパク質と一緒にビタミン、ミネラルも摂れる。

<ハンバーグ>
根菜を入れると美味しいうえに食べ応えもある。根菜類のなかでもレンコンはカラダを温める効果も。隠し味で生姜やみそを入れるのもおすすめ。

<納豆キムチ>
納豆にキムチを入れるだけの簡単レシピ。さらにオリーブオイルをかけても良い。

<さばサンド>
ブランパンにさば缶の中身と酢キャベツ(キャベツに酢をかけて置いて置いたもの)を挟んでマスタードをお好みで付けたら完成。

<さば缶トマトつけ麺>
トマトジュースにさば缶の中身をすべて入れたものをつけ汁にして、糖質ゼロ麺を付けて食べる。

たまごは加熱して白身に火が入った状態のほうがいいです。ビオチンというビタミンの吸収を疎外してしまうアビシンという成分が白身に入っているのですが、加熱することでアビシンの働きを無力化することができます。

たまごは脂溶性ビタミンが多く含まれるので油と一緒に摂ると栄養が吸収されやすくなります。仕上げにオリーブオイルをかけたり、炒めるときに油を使うのがおすすめです。

コメント: 高杉保美さん

時間がある日の免疫力アップレシピ

<スパイスたっぷりのキーマカレー>

●材料(1人分)
・玉ねぎ 1/4個
・しょうが 20g
・にんにく 1/2片
・ココナッツオイル 大さじ1/2
・カルダモンパウダー 小さじ1/4
・クミンパウダー 小さじ1/4
・ナツメグ 小さじ1/4
・チリペッパー 小さじ1/4
・ターメリック 小さじ1/4
・牛豚合挽き肉 100g
・水 100g・塩 適量
・ケチャップ 大さじ1
・マンナン入りごはん 120g
・温泉卵 1個・パクチー 適量

●作り方
①玉ねぎ、しょうが、にんにくをみじん切りする。
②フライパンを熱して、ココナッツオイルを入れ①を炒める。
③スパイスを入れて全体がなじんだら、合挽き肉を入れて炒める。
④水、塩を入れて水気がなくなったらケチャップを入れる。
⑤マンナン入りごはんを盛り付け、カレーをかけて温泉卵とパクチーをトッピング。

チョップドサラダ>

●材料(1人分)
・鶏ささみ 1/2本
・料理酒 大さじ1/2
・黄パプリカ 1/4個
・赤パプリカ 1/4個
・きゅうり 1/4本
・ミニトマト 2個
・アボカド 1/3個
・オリーブオイル 大さじ1/2
・レモン汁 大さじ1
・すりおろしにんにく 小さじ1
・塩こしょう 少々

●作り方
①ささみは筋をとり、耐熱皿に料理酒と一緒に入れ、ラップをし、火が通るまで電子レンジで2分程加熱する。
②粗熱がとれたら食べやすい大きさにさく。
③野菜はすべて1cm角にきる。
④ボールに切った野菜とささみ、オリーブオイル、レモン汁、すりおろしにんにく、塩こしょうを入れて和える。

免疫力を高めるためにプラスアルファでできること

体調が良くないときはあえて食事を摂らずにプチ断食を取り入れるのがおすすめ。実は空腹のほうが自己免疫力が高い状態。食欲がないときに無理に食べようとしなくてもOKだが、水分はしっかりと摂るように心がけて。

日ごろから免疫力を高められるような食事は積極的に摂って。1日の食事でビタミン、ミネラルなどを満遍なく摂るのは難しいのでサプリメントで補助するのが賢い選択。タンパク質はたくさん摂取したほうがいいので、プロテインの利用も手軽なのでおすすめ。プロテインはさまざまなものがあるので選ぶときはビタミン、ミネラルがしっかり入っていて、できれば添加物が入っていないほうが良い。

補うべき栄養素や食材を意識して、少しずつ毎日の食事にプラス。今回の記事から自分に足りなそうなもの、摂ったほうがいいものを見つけて。

「免疫力アップの食事」以外にも、「ダイエット中のごはん」など食事についてもっとくわしく知りたいひとは、高杉保美さんの著書『やセレクション ~これを選んで食べたら、15kgやせました~ (主婦の友社)』をチェック!

取材協力/管理栄養士 高杉保美

text : Yukari Shirai

supervised by

管理栄養士
高杉保美

大手プライベートジムにて、2,000人以上に栄養指導を実施。自身も管理栄養士を取得後-15kgのダイエットに成功。現在はセミナー講師、栄養指導を中心に活動中。

Recommend