仕事に趣味にアクティブなひとも、毎日帰る場所である“家”では、自分の心が安らぐ香りを楽しみたい。恋人や友人などゲストにも幸せな気持ちになってもらえる香りなら、なお理想的。ライフスタイリストの大田由香梨さんもお家の香りにはコレと決めている逸品があるそう。
香りマニアでもある大田さんはお香派。
どんな香りを焚くか。そのひとのセルフイメージにも関わることだから、香り選びはなかなか妥協できない。旅好きな大田由香梨さんは、かつて各国を訪れるたびにその地のお香を購入して、自宅で焚きながら旅の思い出を辿る時間を楽しんでいたこともあったとか。そんな中、7年前に日本のお寺を訪ねる機会があり、お香の香りを嗅いでハッとしたそう。
定期的に焚いているため、すっかり空間に香りがなじんで、ソファなどファブリックの布地に定着したためか、ふとした瞬間に香りがたちのぼり、ほっと落ち着くみたい。
5年間リピートしている京都・松栄堂の白檀のお香
そんな大田さんが長年愛用しているのは、創業300年以上の老舗「松栄堂」の「芳輪 白川」。直径約5.5cmの渦巻き型のものを玄関に置き、家にゲストを招く時に来客の2時間前に着火。一度もくもくと煙らせたあと、1時間ほど経ったら火を消して、換気で風を通しておく。残り香を感じるくらいの状態でゲストをお迎えするのが大田さん流。

出典: 大田由香梨さん撮影
私がお香を焚くのはお客さんを自宅にお招きする時。香りって気の流れ、つまり場そのものをつくるものだと思ってます。年々香料よりも自然由来のナチュラルな香りに惹かれるようになりました。
コメント: 大田由香梨さん
お香を収納する箱にも大田さんのセンスが光る。お香にハマる前に「HAY」で購入していたものがちょうどよく合っていたため活用しているとか。香りのある暮らしそのものを楽しもうとする心意気に憧れてしまう。
自分のために香りを焚くなら、聖なる木「パロサント」
また普段はゲストへのおもてなしとしてお香を焚く大田さんだけど、時には自らのために香りを楽しむことも。

出典: 大田由香梨さん撮影
パロサントという、エクアドルやペルーでは、創造力を高めて幸運をもたらすと言われている香木です。樹脂を豊富に含んでいて、わずかな木片でも火をつけると、焚き火のようでいて少し甘さも感じる豊かな香り。
たまに仕事などで気が立っていると、それに気づいた相方がせっせとパラサントを焚いてくれます(笑)。
コメント: 大田由香梨さん

出典: 大田由香梨さん撮影
精油のアロマテラピーとはまた違う、植物と火が織りなす自然を感じさせる香りが大きな魅力。パラサントは何度も使えるため、実は経済的なのも嬉しいところ。焚くだけで、空間のムードや自分の気持ちががらりとスイッチできるから、香りはとっても奥深い。ぜひ試してみてはいかが?
取材協力 Stylist/大田由香梨
お寺に行くとすごく心が落ち着くのは、日本のお香が漂わせる香りには、DNAや細胞的なレベルで安らぐ“何か”があるからかなぁと思ったんです。家は自分の素に立ち戻る場所だと思うから、そういう空間にはお香がぴったりだなと思って、海外の香りでなく日本の香りを楽しむようになりました。
コメント: 大田由香梨さん