毎月のように月経前症候群(PMS)に悩まされている女性は多い。しかし、「妊活しているわけではないなら、ピルで生理周期自体を無くしてしまうのがおすすめ」と産婦人科医の宋美玄先生は話す。多くの女医も愛用・推奨しているという「ピル」のメリットやデメリットについて話を伺った。
生理前から生理時にかけておこる諸症状
生理に伴い、月経前症候群として眠気、頭痛や腹痛、関節痛や筋肉痛、そしてむくみなどに悩まされるだけでなく、心理的にも憂鬱な気持ちになりがちだったり、不安な気持ちになったりイライラするなどの症状が現れる。
また、生理になったら今度は、頭痛や腹痛、眠気など、常に毎月の半分くらい何かしら生理にまつわる症状に悩まされているという女性が多々。
月経前症候群を緩和する「ピル」って?
「ピル」と言えば、望まない妊娠をしたときに72時間以内に服用する緊急避妊薬のイメージを持っているひとも多いけれど、ここで宋先生が推奨するのは日々服用する「超低用量ピル」(または、低用量ピル)のこと。
女医も愛用し推奨する「ピル」のメリット
ピルを服用することにより得られるメリットを改めてまとめてみると…
①生理不順の解消
②PMSや生理痛の緩和
③特定の婦人科疾患を予防する
④避妊
副作用は?妊娠への影響は?ピルのデメリット
「ピル」はメリットが多いだけれど、日々服用するとなると金額面のことが気になる…。
「生理痛がある」と患者さんがおっしゃれば医師は保険適用での処方が可能です。生理痛が全くないと断言されてしまうと難しいですが、ほとんどの方は保険適用されますので、費用面も心配する必要はありませんよ。
コメント: 産婦人科医 宋美玄先生
そして、どうしても気になるのが副作用。よく「太りやすくなってしまう」「吐き気が続く」なんて聞くけれど?
現在医師が処方している「超低用量ピル」に、太るという副作用はほとんどありません。また、吐き気についても飲み始めにすこし感じる方はいますが、1~2週間で感じなくなります。万が一、長いあいだ吐き気が続く場合には、その薬が合っていないということなので違うものに変更します。これまでに何種類試してもずっと吐き気が続いたという患者さんはいらっしゃらなかったので、副作用については気にする必要はないでしょう。
コメント: 産婦人科医 宋美玄先生
副作用以外にも、いずれ妊娠を望んだときに「生理が来なくなってしまうんじゃないか」なんてことも気になったり。
患者さんで「ピルなんか飲んだら元々自分に備わっているホルモンが働かなくなってしまうのでは」と不安に思って相談される方もいますが、そんなことはありません。ピルの服用を辞めれば身体の機能はすぐに元に戻ります。
「ピルを飲んでいると妊娠しにくくなる」なんていうのもむしろ逆で、妊娠を望まない間しっかりと子宮を休ませてあげることで、妊娠を望むタイミングでピルの服用を中止すればすぐに妊娠することももちろん可能です。実際、私も妊娠前にピルを服用していた経験があります。
コメント: 産婦人科医 宋美玄先生
飲めないひともいる…服用ルールを守って
なかには「ピルをもらいに病院に行ったのに処方してもらえなかった」なんてひともいるようだけれど…実際のところ、どうなの?
ピルを服用できないのは、肥満体質の方。具体的にはBMI値が24.5以上の方です。また、35歳以上でタバコを1日15本以上吸う方も服用できません。
これらはいずれも血栓症を引き起こしてしまうリスクがあるためです。タバコは電子タバコならいいでしょうという方も稀にいますが、関係なくNGです。
コメント: 産婦人科医 宋美玄先生
35歳以下、そしてヘビースモーカーでないのであれば一度産婦人科でピルの服用を相談してみるのもひとつの手段。予想以上に毎月の悩みが減るかも?
取材協力/産婦人科医 宋美玄
そもそも、体が赤ちゃんを迎えるスタンバイをするのが生理です。だから、いまが産みたい時期ではないのに「生理から逃れられない」と我慢する必要はないんですよ。低用量ピルでコントロールすれば、毎月の苦しみは改善することができます。
コメント: 産婦人科医 宋美玄先生