近年流行している糖質制限ダイエット。でも、やり方を間違えるとリバウンド、肌がボロボロ…なんてことになりかねない。そこで今回は、管理栄養士の高杉保美(ほみ)さんに糖質制限をするときの鉄則を伺った。
無理のない糖質制限で15kgダイエットに成功

出典: 画像提供 管理栄養士・高杉保美さん
栄養バランスをきちんと考えた糖質制限ダイエットを6か月行った結果、半年で-15kgに成功。その後もリバウンドなしで、キープし続けているのだそう!
今回は、そういったご自身のダイエット経験と栄養のプロとしての視点から、食事制限で美しく痩せるための11のコツをレクチャーしてくれた。
①食事制限しすぎてストレスを溜めない
甘いものはNG、夜遅くは食べない…食事制限をしすぎるとストレスが溜まるもの。そんな状況が続くことで、かえってリバウンドしてしまったり。
食べないダイエットで15kgくらい落ちたとき、ストレスの影響で過食になって結果的にリバウンド。おまけに肌はボロボロで体調も悪く、最悪な状態でした。ストレスに感じるくらいなら、少しなら好きなものを食べてもいいと思います。
コメント: 管理栄養士 高杉保美さん
②糖質は控える or 白米を玄米に変える
一番メジャーで簡単な「糖質制限」が、白米をなるべく食べないようにすること。精製された白米は血糖値が上がりやすく、からだが糖化=老化してしまう。本気で痩せたいと思うなら、その炭水化物にメスを入れるのが近道。完全に断つのが難しいというひとは、白米を玄米に変えるのがおすすめ。
玄米の中でも発芽玄米がおすすめです。玄米だけだと少し固いのですが、発芽玄米はそれだけでもおいしく食べやすいです。食物繊維やビタミンB1、GABAといった栄養素も豊富に含まれています。
コメント: 管理栄養士 高杉保美さん
③食物繊維をたくさん摂る
「食物繊維」には、ダイエットにうれしい効果がたくさん。
1) 糖質の吸収をゆるやかにして血糖値の上昇を抑える
糖質を摂ると食後の血糖値が上昇してしまうが、食物繊維を最初に摂っておくことでその血糖値の上昇を抑えることができる。
2) 腸内環境を整える
水溶性食物繊維は腸内の善玉菌を増やしてくれる働きがある。別名「痩せ菌」ともいわれる善玉菌を増やして腸内環境を整える。
3) 摂りすぎた脂質、コレステロールの吸収を抑える
悪い脂やコレステロールを摂ってしまった場合は体外に排出する必要がある。その際に食物繊維が役立つ。
ちなみに、食物繊維を多く含む食材には、野菜、きのこ類、玄米、大豆類、海藻類などがある。
現代人は食物繊維が不足しがち。1日に必要な量の60%も摂取できていないのが現状なので、積極的に摂るようにしましょう。
コメント: 管理栄養士 高杉保美さん
④合言葉はベジファースト。食事は必ず野菜から食べる
糖質の吸収をゆるやかにするために、最初は野菜などで食物繊維をたくさん摂るように。食べた順番で吸収の仕方が変わるため、食べる順番はとても大事。野菜を食べてから、肉や魚を食べるのが理想の順番。これを意識するだけでも変化が見られるはず。
食べる順番のほかに、食べるスピード、食べる量が大事です。食べるときはゆっくりよく噛んで食べることで消化がよくなります。早食いはおデブの元です。そして、最初に食べる野菜はなるべくたくさん摂るように心がけましょう。
コメント: 管理栄養士 高杉保美さん
⑤肉、魚、卵、大豆製品…たんぱく質を必ず摂る
糖質の代謝をよくする成分が「ビタミンB1」。そのビタミンB1は肉類(とくに豚肉)、卵、魚介類、大豆製品などに多く含まれています。たんぱく質をたくさん摂るように意識すると自然とビタミンB1が摂取できる。
ビタミンB1の吸収をよくするのが、香りの強い野菜なんです。お肉や魚介類とともに、たまねぎ、にんにく、ねぎ、ニラといった野菜を摂ると効果的です。
コメント: 高杉保美さん
⑥水を1日1.5リットル以上飲んでデトックス
水はダイエットに欠かせないもの。期待できる効果としては「デトックス」と「消化機能サポート」などがある。
水をたくさん飲むことで尿として排泄される老廃物が増える。むくみを感じやすいひとはとくに心がけて。また、水を摂取することで胃や腸の働きが活発になり、食べたものがしっかりと消化される。腸の働きが活発になれば、便秘のお悩み解消にもつながる。
ただし注意したいのは、常温で飲むこと。冷たいと体を冷やしてしまってダイエットには逆効果に…。
とくに、朝はデトックスの時間なので水をたくさん飲むようにしましょう。朝起きてすぐは胃や腸が空っぽの状態。朝コップ1杯の水を飲むことで胃や腸のぜん動運動を活発にしておくことが大切です。
コメント: 管理栄養士 高杉保美さん
⑦食後にコーヒーを飲む
コーヒーに含まれる「カフェイン」と「クロロゲン酸」はダイエットの強い味方。
「カフェイン」にはリパーゼという消化酵素を活性化させる働きがある。リパーゼは脂肪を分解して燃えやすい状態にしてくれる。また、カフェインには血行を促進して代謝を上げる働きがある。代謝が上がれば余分な脂肪が燃えやすくなるためダイエットに◎。
「クロロゲン酸」はポリフェノールの一種で、血糖値の上昇を抑制する作用があり、脂肪の溜め込みを防ぎます。
コーヒーを飲むときはブラックで飲むのがベスト。砂糖や牛乳を入れてしまうとそのぶんのカロリーを摂取してしまうことになります。また、からだを冷やさないためにホットで飲むのがおすすめです。
コメント: 管理栄養士 高杉保美さん
⑧不足しがちな栄養素を把握する
一般的に不足しがちなのが、たんぱく質・脂質・食物繊維・ビタミンB群(B1、B2、B6)・ミネラル。
<たんぱく質>
血液や筋肉、酵素など体を作る主要成分。人間の体の1/5を占める。
<脂質>
オリーブオイルやオメガ3などからだにいい油を摂るべき。脂質が不足するとホルモンバランスがくずれたり、代謝が下がってしまう。
<食物繊維>
野菜やきのこ類に多く含まれる。水溶性と不溶性の食物繊維があるため、両方ともバランスよく摂ることが大切。
<ビタミンB群>
3大栄養素の代謝や必要な栄養素の吸収をサポートしてくれる。
<ミネラル>
とくに不足しがちなマグネシウムと鉄を意識して摂ると◯。
マグネシウム:海藻類、魚介類、大豆などに多く含まれる。
鉄:赤身のお肉やマグロ、カツオといった赤身の魚を食べるなど、動物性食品がおすすめ。
さまざまな栄養を摂取するためには、いろんな食材をバランスよく食べる必要があります。例えば、鉄分はビタミンCと一緒に摂ることで吸収されます。単体でその食材だけ食べるというよりは組み合わせて食べる方が効果的です。
コメント: 高杉保美さん
⑨毎朝、体重計にのる
体重が増えたから悪い・痩せたからいいというわけではなく、その原因は何なのかを知るといったように、自分のからだの状態を常に意識しておくことが大事。食べ過ぎて少し増えてしまったから運動しよう…など、自分の状態を知ることで対処できる。
体重を測るなら、毎日決まった時間に行いましょう。増減の結果が把握しやすくなります。また、体重計はできれば体脂肪率が計れるものを選びましょう。
コメント: 管理栄養士 高杉保美さん
⑩夜10時以降は食べない
夜10時から翌2時の間は、たんぱく質の一種「BMAL1(ビーマルワン)」が活性化する。このBMAL1はからだに脂肪をつけやすくするという特徴がある。さらに、夜は活動量が減るので食べ過ぎると消化しきれずに残ってしまいがち。これが夜10時以降は食べないようにと言われる理由。
理想を言うなら、食事は夜10時には終わらせて、なるべく消化にいいものを食べましょう。夜遅い時間に食べてしまうと、寝ているあいだ胃腸が消化活動をしていて休まっていない状態。そうすると消化に血液も酵素も使われてしまうので、睡眠の質が下がってしまいます。
コメント: 管理栄養士 高杉保美さん
⑪お酒は種類とおつまみに気をつける
お酒は種類を選ぶのが大切で、醸造酒ではなく蒸留酒がおすすめ。
<太りやすいお酒>
ビール、日本酒、サワー、カクテル、白ワイン、シャンパンなど
<太りにくいお酒>
焼酎、ウイスキー、ジン、ウォッカなど
気を付けたいのは、アルコールの代謝にビタミン・ミネラルが大量に使われることで、痩せにくくなること。そもそも、ビタミンやミネラルはダイエットに必要不可欠。これが不足することで太りやすいからだになってしまう。
そこで重要なのは、お酒を飲むときに一緒に食べるおつまみの選び方。お酒を飲むと栄養の吸収が活発になるため、サラダなど食物繊維を先に摂って糖質の吸収を防いで。
また、ビタミンやミネラルを補給するために肉類、魚介類、大豆製品、卵などたんぱく質が多い食材も意識的に食べるように。
お酒が好きな方にとっては「お酒を飲んじゃいけない」となるとストレスになります。お酒を飲むときは、飲むお酒の種類やおつまみに気をつけて、うまく付き合っていきましょう。
コメント: 高杉保美さん
糖質オフおつまみが知りたいひとは、高杉保美さん出演の『糖質オフのやせぐせつまみめし250 (主婦の友生活シリーズ)』をチェックしてみて。
『糖質オフのやせぐせつまみめし250 (主婦の友生活シリーズ)』主婦の友社(編集)(主婦の友社刊)
糖質制限や食事でダイエットをしようと思っているひとは、これら11の鉄則を意識してみて。間違ったダイエットはかえってリバウンドしやすくなるから要注意。無理に短期間で落とそうとせずに正しいやり方でダイエットを楽しんで。
取材協力/管理栄養士 高杉保美
東京に来てから、甘いものが手軽に買える環境であったこともあり、急激に太ってしまいました。それからダイエットを始めようと思ったものの運動したくないというのがあったので、食事だけで痩せようと決意しました。
単なる“食べないダイエット”で一時的に38kgまで落ちたのですが、フラフラしてしまったり、ストレスが原因でリバウンド。
それからは栄養を学んできた経験を活かして、自分には糖質を断つのではなく制限するダイエットが向いていると思い直し本格的に開始しました。
コメント: 管理栄養士 高杉保美さん