「いつか結婚したい」「いつか子どもを産みたい」そうして“いつか”を繰り返しているうちに、産み時を逃してしまったらどうしよう。妊娠にリミットはあるの…? そんなアラサーの不安に、産婦人科医の宋美玄先生がお答え。
妊娠・出産のリミットはいつ?
「35歳以降は高齢出産」なんて話を巷で耳にする時代。反対に、50歳を過ぎてから妊娠したひとがいるというニュースを目にすることもある。実際のところ、妊娠・出産のリミットはいつなんだろう?
41歳、42歳、43歳… 妊娠のボーダーライン?
40歳でも妊娠できるひとのほうが多いということは、41歳・42歳でも妊娠できる? それとも、40歳以降の1歳には大きな差があったりするもの?
41・42・43歳の差は、実は大きいです。例えば、41〜42歳の女性から「子どもが欲しい」と相談されたら「もう無理」とは言いません。でも、43〜44歳の女性から相談されたら心から「頑張って」とは言えないんですよね。
いっぽうで、いまのアラサー世代のなかには40歳になったらもう無理だと思っているひともいますけど、40歳っていうのは十分妊娠できる年齢ということは知っておいてほしいですね。
コメント: 宋美玄先生
「アラサー女子は焦り過ぎ!」と宋先生
子どもが欲しい、両親からのプレッシャーが重い、マウンティングを受けたくない…。アラサー女性の悩みの裏には、さまざまな事情が隠れている。「35歳」という年齢もやっぱり気になるけど、妊娠について、どう考えればいいんだろう?
ひとつ言いたいのは、いまのアラサー女性は焦り過ぎということ。いろいろな情報に振りまわされてしまうかもしれないけど、その年で焦るのはもったいないです。
「いつか子どもが欲しい」というひとは「このひとの子どもを産む」という相手が35歳くらいまでに見つかれば良いのでは。妊娠については、そこからトライしはじめるので十分だと思いますね。
コメント: 宋美玄先生
男性にもリミットはある?
女性は閉経すると、子どもを産む機能が失われる。いっぽうで男性のなかには、70歳・80歳でもパパになるひとがいる。男性の精子には、リミットがないということ?
男性にリミットはありません。女性の卵子の数はお母さんのお腹のなかにいるときから決まっているけれど、男性の精子は毎日細胞分裂して、新しく生成されます。
ただし、年を重ねたひとの精子は何回も細胞分裂しているので、遺伝子の損傷の割合が高くなります。そのため、年齢とともに妊娠させる可能性が減るということは言えますね。
コメント: 宋美玄先生
産まない人生もあり、自分らしい生き方を選択して
最近は「産まない」選択をするカップルも増えている。子どものいない人生について、宋先生の見解は?
そういう選択も良いと思います。私の知り合いには、子どもを産む気がなく、生理もひどいし筋腫もあるからといって、30代で子宮を取ったひとが2人います。
「産まなくていいのかな」と悩むひとは、一度その理由をもう少し掘り下げてみたほうがいいですね。もしかしたら「子どもがいないひとはかわいそう」という気持ちがあったり、「子どもを産まなきゃいけない」という思い込みがあったりするかもしれません。子どもを産んだ女性のほうが上という、無意識の偏見を思っているひとも結構多いです。
コメント: 宋美玄先生
子どもを産む人生が、正解ではない。家族が欲しいなら、養子を引き取るという選択肢もある。「出産ラッシュだし、私もそろそろ…」と考えているひとは、まずは自分の気持ちをもう深掘りすることからはじめてみて。
取材協力/産婦人科医 宋美玄
必ずしも「この年齢を過ぎたらリミット」という基準はありません。それよりも、子どもが絶対に欲しいかどうかによりますね。自然妊娠にこだわるのか、それともさまざまな不妊治療をしても子どもが欲しいかによって、リミットは変わってきます。
例えば、40歳で子どもが欲しいと思い、そこからタイムロスなしで不妊治療に踏み出せば、妊娠できるひとのほうが多いんですよ。
コメント: 宋美玄先生