日本では「避妊のために服用するもの」というイメージが根強い低用量ピル。生理不順の解消や、PMSの症状を軽減するために低用量ピルを服用しているひともいるって聞くけど、悪い影響はないの?
低用量ピルに対して、怖いイメージを抱いている女性に向けて、産婦人科医の宋美玄先生がアドバイス。
ピルは避妊以外にどんな効果が期待できる?
低用量ピルを飲むと、ホルモンバランスが崩れて、むくみや吐き気が起こりやすくなる…。
こんな噂を耳にして、低用量ピルの服用をためらっているひとも多いかも。でも、宋先生によると「ピルに関する知識が、20年前のまま止まっているひとが多い」のだとか。
宋先生が教えてくれたピル服用のメリットは次の通り。
1.生理不順の解消
低用量ピルはシート状になっており、21日間内服し、7日間休薬するのが基本。28日周期を自分でコントロールできるため、生理不順を解消することができる。
2. PMSや生理痛の緩和
ピルを飲むことで、ホルモンバランスが低めで安定する。これにより、イライラや倦怠感などのPMSを緩和したり、生理痛が改善したりする。
3.特定の婦人科疾患を予防する
「低容量ピルを飲むとがんにかかりやすくなる」という噂は誤り。実際は、ピルの服用によって、卵巣がんや子宮体がんのリスクが大幅に下がるという研究結果が出ている。
私の患者さんの中には、肌のためにピルを飲んでいる人も結構います。男性ホルモンの影響によってできる頬や顎のニキビは、ピルで改善されることが多いですね。
コメント: 宋美玄先生
生理痛の救世主。ピルの種類はどんなのがあるの?
ピルには、大きく分けて低用量と中用量の2種類がある。エストロゲンの含有量が多い中用量ピルは、副作用のリスクがあり、今ではほとんど使われなくなっているそう。生理痛緩和のためには、どのようなピルを服用すればいいんだろう?
生理痛を緩和するために処方される低用量ピルの中で、保険が適用されるものは、“ルナベル”と“ヤーズ”の2種類です。ヤーズは超低用量といわれるピル。ルナベルにも「ウルトラ・ロー・ドーズ」という、超低用量のものがあります。
コメント: 宋美玄先生
いまは「超低用量ピル」が、生理痛用ピルの主流なのだそう。
ピル服用はいつから? 注意すべきポイントはある? 基本ルールをおさらい
ピルメリットや種類がわかったところで、服用する際の基本ルールも押さえておきたい。どのタイミングで服用するのが正解? 今日からすぐに飲み始めても大丈夫?
ピルは、生理が始まったらすぐに飲むのがルール。「サンデースタート」が話題になったこともありましたが、生理周期が1回リセットされて、体からエストロゲンがそれほど分泌されないうちに飲み始めるのがベストです。
コメント: 宋美玄先生
サンデースタートとは、ピルを日曜日に飲み始めること。金曜日にピルを飲み始めると、生理が週末に重なる可能性が高い。週末の予定が潰れてしまわないように、生理周期を調整する方法として話題になったのだとか。
生理が始まってから日が経つと、排卵に向けて、体の中でエストロゲンが増えてきます。その状態でピルを服用すると、エストロゲンの量が多くなりすぎて、排卵がコントロールできなかったり、血栓症のリスクが高くなったりするためおすすめできません。
コメント: 宋美玄先生
低用量ピルは副作用があるって聞くけれど…実際は?
ピルを飲むと副作用が出ることもあると聞く。どんな副作用があるんだろう?
副作用で深刻なものは、血栓症です。喫煙しているひとや太り気味のひと、高年齢のひとは発症しやすいですね。服用しはじめのときは、吐き気や不正出血が出ることもありますが、1週間ほどでおさまることが多いです。
コメント: 宋美玄先生
副作用をなるべく抑えるためにも、毎日同じ時間にピルを飲んだり、飲み忘れを防いだりしたいところ。「朝起きてすぐ」など、1日のサイクルの中に取り入れるのが正解といえそう。
生理痛やPMSの不快さに悩んでいたのは、もはや昔の話。「生理はつらいもの」という考えは手放して、低用量ピルで自分の体を上手にコントロールしてみては?
取材協力/産婦人科医 宋美玄
低用量ピルというのは、エストロゲンと合成プロゲステロンの合剤です。ピルを飲むことで、排卵をコントロールできたり、子宮内膜が薄くなり受精卵が着床しにくい状態になったりするなど、避妊効果が高くなります。このほかにも、ピルにはさまざまな効果があるんですよ
コメント: 宋美玄先生