赤ちゃんは授かりものというけれど、「妊娠しやすい日」「しにくい日」というのは当然ある。排卵日の関係は? タイミング法って? 生理前は妊娠確率が低いって本当?そんな疑問に対し、産婦人科医の宋美玄先生がお答え。
20代、30代、40代、年齢を重ねるごとに変化する女性のからだ。これから結婚・出産を考えているひとも、そうでないひとも、どういうときに妊娠の確率があがるのか、"毎日仲良し"であることで妊娠する確率は高まるものなのか、大人の女性として自分のからたの仕組みを知っておくべし。
「妊娠の確率」が最も高い日って、いつ?
妊娠と密接な関係にある「排卵」。基礎体温をつけていれば、排卵した時期がわかるという。妊娠の確率が最も高まるのは「排卵日」と聞くけれど、その日にセックスすれば、妊娠の確率は上がるの?
妊娠の確率ってどれくらいなの? ひとによって違うもの?
最近は「不妊治療」という言葉もよく聞くようになって、妊娠しづらいひとが増えているというけれど…。実際のところ、妊娠する確率ってどれくらいなんだろう?
体に問題がない場合、妊活をしている人の85%が1年以内に妊娠します。妊活をしていても1年間妊娠しなければ、妊娠しづらい可能性がありえます。
コメント: 宋美玄先生
妊娠の確率は、2・3年待っても上がるわけではない。「自分は妊娠しづらいのかも」と思ったら、その時点で病院に行ったほうがいいみたい。
# "毎日仲良し"は高確率?妊娠しやすいセックスの頻度
妊娠を望んだら、排卵日前後に合わせてセックスをするという話はよく聞く。けれど、排卵日がそもそもズレていたから意味がなかったなんて話も聞く。できる限り回数を多めにと思うけれど、共働きだとなかなか難しい。やっぱり「行為が好きなひと」のほうが有利ってこと…?
とにかく回数が多いほうが良いですね。排卵日のタイミングを狙い撃ちするのはどうしても難しいものですし、「妊娠するためのセックス」ですと妊活が長引くとどうしてもつらくなってしまうもの。パートナーとセックスをする期間が長続きするように、楽しむことが大切です。1人目の妊娠までの過程が義務感にかられたつらいものであれば、2人目はもう無理! となってしまいますから。
コメント: 宋美玄先生
もちろん毎日仲良し出来たならその分確率は上がる。だけれども、あくまで楽しむことが大切。
「35歳の壁」ってよく聞くけれど…
妊娠の確率が低くなる年齢として、よく「35歳」という年齢が挙げられる。35歳以上は「もう無理」というようなコラムを見かけることもあって、アラサー世代は焦りがつのる。
「35歳を越えたら高齢出産」なんていわれますが、そんな壁は必要ないと私は思います。私が出産したのも35歳のときですしね。データ上、妊娠の確率が下がり始めるのは37~38歳くらい。43歳を越えると難しくなる印象がありますね。
コメント: 宋美玄先生
30歳くらいで中間管理職になって仕事が少し落ち着いてから、結婚して子どもを生む女性も多い。35歳以上の妊婦の割合って、どのくらいなんだろう?
いまは、妊婦の4分の1は35歳以上です。思っているより多いでしょう? 20代前半と30代後半では、卵の質も変わってくるけれど、妊娠のしやすさはひとそれぞれ違うんです。最近は「早く産むべき」なんて焦りをかきたてるような情報も多いけど、35歳以上のひとが妊娠をあきらめる必要はありません。
コメント: 宋美玄先生
# 50歳過ぎて妊娠も。実際の妊娠・出産のリミット年齢は…
50歳を過ぎてから妊娠したひとがいるというニュースを目にすることもある。実際のところ、妊娠・出産のリミットはいつなんだろう?
必ずしも「この年齢を過ぎたらリミット」という基準はありません。それよりも、子どもが絶対に欲しいかどうかによりますね。自然妊娠にこだわるのか、それともさまざまな不妊治療をしても子どもが欲しいかによって、リミットは変わってきます。
例えば、40歳で子どもが欲しいと思い、そこからタイムロスなしで不妊治療に踏み出せば、妊娠できるひとのほうが多いんですよ。
コメント: 宋美玄先生
# 「40代の出産」は+1歳の差が大きい
40歳でも妊娠できるひとのほうが多いということは、41歳・42歳・43歳でも妊娠できる? それとも、40歳以降の1歳には大きな差があったりするもの?
41・42・43歳・44歳の差は、実は大きいです。例えば、41〜43歳の女性から「子どもが欲しい」と相談されたら「もう無理」とは言いません。でも、44〜45歳の女性から相談されたら心から「頑張って」とは言えないんですよね。
いっぽうで、いまのアラサー世代のなかには40歳になったらもう無理だと思っているひともいますけど、40歳っていうのは十分妊娠できる年齢ということは知っておいてほしいですね。
コメント: 宋美玄先生
# 30代の女性は焦りすぎ?
子どもが欲しい、両親からのプレッシャーが重い、マウンティングを受けたくない…。アラサー女性の悩みの裏には、さまざまな事情が隠れている。「35歳」という年齢もやっぱり気になるけど、妊娠について、どう考えればいいんだろう?
ひとつ言いたいのは、いまのアラサー女性は焦り過ぎということ。いろいろな情報に振りまわされてしまうかもしれないけど、その年で焦るのはもったいないです。
「いつか子どもが欲しい」というひとは「このひとの子どもを産む」という相手が35歳くらいまでに見つかれば良いのでは。妊娠については、そこからトライしはじめるので十分だと思いますね。
コメント: 宋美玄先生
妊娠しやすい日を予測する「タイミング法」って?
これから妊活を考えているひとのなかには、少しでも妊娠の確率を上げたいと考えているひとも多いはず。確率を高める方法ってあるのだろうか?
サプリメントなどもたくさん販売されているけれど「これをしたから妊娠の確率が上がる」という方法はありません。ただし、カフェインやアルコールを摂りすぎないようにしたり、タバコをやめたりすることで効果が出る場合もあります。
コメント: 宋美玄先生
妊活中のひとから「タイミング法」という言葉を聞くことがあるけれど、どんな方法なの?
基礎体温と排卵日検査薬の結果、それから超音波で卵胞が育っていくのをチェックし、タイミングを教えてもらう方法です。排卵日検査薬が陽性なら排卵が近いことがわかりますし、卵胞の大きさが20mmくらいになってきたらそろそろ妊活のタイミングですよとお伝えします。
コメント: 宋美玄先生
# 基礎体温をつけるのが面倒なら「排卵検査薬」がおすすめ
いまは妊娠したくないひとも、自分の排卵日は知っておくと便利。もし毎日体温をつけるのが面倒なひとなら、ドラッグストアなどで手に入る「排卵検査薬」で、排卵日を予測しておくと◎。
昔は、排卵したかどうかは病院でしか検査ができなかったんです。でも現在では、市販の排卵検査薬で簡単に検査できるので、クリニックでも患者さんに「持っておいてくださいね」とおすすめしています。
コメント: 宋美玄先生
生理不順のひとなら、排卵日を知ることで次回生理日を予測することができる。
また、排卵検査薬のなかには「妊娠可能性レベル」を知らせてくれる製品もあるから、将来の妊娠の可能性を知りたいひとにもうれしい。
妊娠の確率が低い日でも妊娠することはあるの?
予定日に生理が来ないことで「安全日だったはずなのに!」なんて焦ることのないように。まだ妊娠を考えていないひとでも、セックスをしていれば妊娠する可能性はゼロじゃない。
病院などで診てもらい、排卵が終わっているとわかっている場合は、理論上、妊娠はしません。そうでない限り「安全日」というのはないんですよ。基礎体温をつけていても、自分の体の中の状況というのはわからないもの。妊娠しづらい日はあったとしても、絶対に妊娠しない日はないと考えてください。
コメント: 宋美玄先生
妊娠を希望する前に受けておきたい検査って?
妊娠を望んだときや、不妊治療の過程で子宮に病気が見つかったなんていう話も聞く。普段から何もなくても子宮の状態を定期的にチェックしておいたほうがいいものなの?
子宮の状態については、1年に1回、婦人科検診でチェックしておけば十分です。また、妊活を本格的に始めるまえに一度は自分の排卵が正常に行われているかどうかはチェックしておきたいもの。そのためにも基礎体温を普段からつけておくと良いでしょう。
コメント: 宋美玄先生
もちろん、婦人科検診を受けるに越したことはない。だけれど、誰しもが、すべての検診を受けなければいけない、という訳ではないのだとか。では、どの検査を受けるべきなのか…? 宋先生がおすすめする、20代後半からの検査項目をチェック。
すべてを受ける必要はないと思いますが、アラサー世代の方々が“受けるべき検査項目”は、受診していただくことをおすすめします。
コメント: 宋美玄先生
①子宮頸部細胞診(しきゅうけいぶさいぼうしん)
②子宮卵巣超音波検査
③クラミジア検査
④淋病(りんびょう)検査
婦人科系疾患の早期発見につながる、「子宮頚部細胞診」や「子宮卵巣超音波検査」に加え、ここ数年増加傾向にあり、自然妊娠が困難となる「クラミジア」や「淋病」などの性病検査も行っておくべきなのだとか!
さらに、クラミジアや淋病に引っかかった場合は、“梅毒”や“HIV”の検査も行うことをおすすめします。近年、梅毒にかかる方が急増しているので、注意が必要です。
コメント: 宋美玄先生
巷でウワサ話の産み分け…セックスの仕方で生まれる子の性別が変わる?
妊娠を望んでいるときにはその体位も気になってしまうもの。「バックスタイルですると女の子が生まれる」なんて産み分けのウワサ話や、「妊娠しやすい体位がある」なんて話も。実際、どんな体位がベストなの?
体位による妊娠のしやすさなどは全く関係ありません。もちろん、「こういうセックスをすれば男の子が生まれる」などの男女産み分けのウワサも全くのでたらめです。
コメント: 産婦人科医 宋美玄先生
まことしやかに語られている産み分け法は、医学的には証明されていないものばかり。ウソの情報に振り回されないように注意して。
生理中のセックスでも妊娠する?
宋先生によると「生理中だったら安全日」というのは都市伝説。わざわざ生理中を選んでしたがるカップルは、「妊娠」のこともきちんと考えるべし。
生理周期によっては、生理の終わりごろと排卵日が近いひともいます。生理初日であれば妊娠の可能性は低いですが、後半なら確率が上がるので、コンドームをつけるなどの避妊はマストです。
コメント: 宋美玄先生
生理周期が短めなひとは、すぐに次の排卵日が来る。生理が不順なひとは、いつ排卵しているかすらわからないことも多い。生理後半は、妊娠の確率が高いタイミングも含まれるということを、忘れないでおいて。
将来のセックスレスはいまから予防!
問題なのは、セックスレスの男女。「日本性科学会」の定義では、セックスレスとは「特別な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1ヶ月以上ないこと」とのこと。
また、「第8回男女の生活と意識に関する調査報告書2016年(一般社団法人日本家族計画協会)」によると、セックスレス状態の日本の夫婦は47.2%に上るという驚愕の結果が。
セックスレスの男女が妊娠のために、頻繁にセックスをしなければならないと思うと、気が重くなるもの…。
# まずはセックスレスの解決から
セックスレス状態からまた再開することについて考えてみる。空いた期間が多ければ多いほど誘いづらいけど…どのようにきっかけを作ればいい?
まずは相手を尊重し、褒めることからスタート。無意識のうちにダメだしや文句ばかりいっているなんてことはない? 男性は意外と繊細で、自信がなくなるとセックスへの意欲もなくなってしまうみたい。相手を尊重すること、そして好きなところを褒めて伸ばすことはセックスの活力としても大切。
そして、二人きりの時間を増やすこと。仕事が忙しいと一緒に過ごす時間が少なくなりがち…。二人きりで過ごすことのできる時間を確保することで、コミュニケーション不足を解消。さらにセックスチャンスを増やすことにもつながる。
セックスレスを解消する詳しい5ステップについては、こちらの記事もチェックしてみて。
# ラブローション使用のすすめ
ホテルなどで見かけるラブローション(潤滑ゼリー)。プロの女性が使っているイメージがあったり、ちょっと抵抗が…。
ラブローションを使うことの、メリット/デメリットはどんなこと?
ラブローションを使うメリットは快感がアップしやすいことや、挿入時の痛みの軽減があります。挿入時間が長い相手との場合であれば、使用することで痛みを防ぐことができます。さらに、摩擦を軽減させる効果があるため、セックス後にヒリヒリしないのもメリットですね。
しかし、ひとによってはヌルヌル感が気持ち悪いと感じることがあったり、かぶれなどが発生する可能性があるのがデメリットです。
必要性を感じていないのであれば無理に使用することはありません。
コメント: 宋美玄先生
彼とのセックスがマンネリ化しているときなど、必要に応じてラブローションを上手に使ってみて。
もしかして妊娠?妊娠超初期から現れる「15の症状」を✓
チクチクするような痛み、ギューッと圧がかかるような痛み、差し込むような痛み…。妊娠初期に、腹部に痛みを感じるということがあるそう。
ひとによりますが、早い段階から妊娠の兆候が出るひともいます。ただ何の変化もなかったという女性も多いので、かなり個人差があるでしょう。
コメント: 宋美玄先生
十人十色といわれる「妊娠のサイン」。妊娠超初期症状として、よく聞くのは「風邪のような症状」「生理前のPMSに似ている症状」など。これらのような症状って、本当にみんなに起こり得ることなの? ほかにどんな症状があるのかをチェック。
□ 寝ても寝ても…眠気が止まらない
□ 気力が起きず、体がだるい
□ 食欲が増す or なくなる
□ イライラ、不安、落ち込み
□ 溜まっているかも…便秘
□ 気になる、お腹の張り
□ おりもの量が増える
□ 少量の出血がある
□ ズキズキ…頭が痛む
□ まだ早いはずだけど…腰が痛い
□ トイレの回数が増えた
□ フラフラ…めまいや立ちくらみ
□ 気持ち悪い…つわり(吐き気)
□ 生理がこない
□ 何だか熱っぽい…。風邪?
妊娠超初期の体調は、ひとによってかなりバラつきがあるので、あくまで「体験談」として考えて。もし不調が改善されないようなら、別の病気の可能性もあるので早めに病院を受診するのが吉。
妊娠超初期から現れる症状については、こちらの記事もチェックしてみて。
妊娠は女性だけの問題じゃない。子どもを望むひとも、そうでないひとも、妊娠の確率についての知識をきちんと理解し、パートナーと話し合える関係を築いておきたいところ。
取材協力/産婦人科医 宋美玄
妊娠の確率が高いのは、排卵日当日ではなく、排卵日の2日前。卵子は排卵した瞬間から衰えていくので、精子が“出待ち”している状態をつくっておくことが重要なんです。
コメント: 宋美玄先生