美容好きのあいだで特に人気が高い成分のひとつ、“レチノール”。レチノール配合の化粧品は多く販売され、気になっているひとも多いはず。でも実際、レチノールってどんな肌悩みに向いているの?
皮膚科専門医の土屋佳奈先生が、レチノールの正しい知識や使い方についてアドバイス。スキンケアにうまく取り入れてみて。
レチノールについておさらい
“レチノール”を配合した化粧品は、話題になることが多く、人気も高い。そもそもレチノールがどういった成分なのか、土屋先生にうかがった。
ビタミンAは、さまざまな肌悩みにアプローチするといわれる。
▶シミの悩みに
表皮のターンオーバーを促すことで、シミの原因となるメラニンを排出しやすくする。
▶シワ、たるみの悩みに
表皮の下の真皮に働きかけ、コラーゲンの生成を促すことで、浅いシワの改善に効果が期待できる。また同じく真皮にあるヒアルロン酸の産生を促進し、もっちりとした肌に導く。
▶ニキビ、毛穴づまりの悩みに
過度な皮脂分泌を抑制し、ニキビができにくい状態に。毛穴づまりの悩みにも用いられる。
レチノールを使用する際、気をつけたいこと
塗る量
さまざまな肌悩みに用いられるレチノール。ただし、使う際には注意も必要。
レチノールは使い続けてこそ効果を期待できる成分。たくさん塗ったからといって早く効くものではありません。またレチノールの使いはじめは、肌が乾燥に傾きがち。なれるまでは、刺激となるピーリングやスクラブは避けましょう。
コメント: 土屋佳奈先生
レチノールは、化粧品の種類によって配合される濃度や浸透性などが異なり、使用するアイテムによっては刺激を感じるひともいる。自己判断での個人輸入なども避けるのが無難。
ほかの成分と併用するなら?
さらに、気になるのは他成分との同時使用。
たとえば、美白や抗酸化作用に定評があり、レチノールと同等に人気の“ビタミンC”。併用は可能?
ビタミンAとビタミンCは、適正のpHが異なることから効果を最大限に発揮できないといわれることがあります。でもそれは、同じ製品に混ぜるなどした場合の話。併用できないという訳ではありません。
ビタミンAとビタミンC、それぞれの特徴を活かしたスキンケアは効果が期待できる面も。取り入れるなら、最初に水溶性のビタミンC誘導体を塗り、その上から油溶性のレチノールを塗るなど、使う順番を工夫してみましょう。
コメント: 土屋佳奈先生
ただし、「ビタミンAもビタミンCも、ひとによって刺激を感じることがあるので、肌が敏感になっているときの使用は注意」とのこと。生理前は避けるなど、肌をよく観察しながらスキンケアに取り入れてみよう。
さらに、レチノールと相性のよい成分についてうかがった。
相性がよいのは美白成分の“ハイドロキノン”。ハイドロキノンでメラニンの生成を抑制しつつ、レチノールでターンオーバーを促す効果が期待できます。
市販の化粧品では、医薬部外品の美白有効成分として認められている、“アルブチン”や“トラネキサム酸”、“コウジ酸”なども、レチノールとあわせてチェックしたい成分ですね。
コメント: 土屋佳奈先生
また、近頃話題の“ナイアシンアミド”も、レチノールと好相性な成分のひとつ。
レチノールは使いはじめに乾燥や皮むけをなどの刺激を感じる場合がありますが、肌荒れ防止の有効成分でもあるナイアシンアミドがバリア機能を助けてくれる効果が期待できます。
レチノールは使い続けて効果を発揮するものなので、ナイアシンアミドで刺激感をうまく抑えつつ、継続的に続けていけたら理想的ですね。順番としては、ナイアシンアミドを塗ってからレチノールを塗る方法のほか、一緒に配合された化粧品を使うのもおすすめです。
コメント: 土屋佳奈先生
市販化粧品のレチノールを買うとき、ここに注目
デパコスからプチプラまで、レチノールを配合した化粧品はさまざまな種類が発売されている。ただ、“レチノール配合”と記載していても、すべてに同じレチノールを使っているという訳ではない。
市販の化粧品に配合されているレチノールの種類としては、“パルミチン酸レチノール”や“酢酸レチノール”などがあります。これらは安定性が高く比較的刺激が少ない成分といわれ、守りのケアとして取り入れられることが多いです。
シワへの効果を期待するなら、有効成分として認められた“純粋レチノール”配合の医薬部外品を選んで。
コメント: 土屋佳奈先生
また、レチノール配合の化粧品を使う頻度についてもアドバイスする土屋先生。
ひとによっては刺激を感じる場合もあります。1日おきや、週3回など、様子を見ながら使用しましょう。
コメント: 土屋佳奈先生
クリニック処方のトレチノイン
土屋先生によると、肌悩みを抱えてクリニックを訪れる患者にも、ビタミンAを希望するひとは多いそう。
クリニックで処方される“トレチノイン”は、市販の化粧品で配合されるレチノールの約50〜100倍の生理活性作用があるといわれています。皮むけや刺激感が強く出ることもあるので、最初は低い濃度のものをごく少量から。そのひとの肌質や生活環境などをカウンセリングしながら処方していきます。
コメント: 土屋佳奈先生
土屋先生によると、ビタミンAはもともと肌に備わっている成分。紫外線などの影響を受け、減少してしまう性質があるのだという。肌に保有するビタミンAの量が少ないひとほど、“A反応”と呼ばれる皮むけやヒリヒリ感が出やすいのだとか。
ひとによって推奨する使い方はさまざま。乾燥肌か、ニキビができやすい肌質か、なるべく反応が出ないほうがよいかなどを考慮しながら、治療方針を決めていきます。
コメント: 土屋佳奈先生
人気の成分であるがゆえ、SNSなどでも情報があふれるレチノール。自分の肌と相談しながら、うまく取り入れるよう意識してみて。
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レチノールとは、ビタミンAの一種です。ビタミンAには、レチノールのほかにも、刺激が少なめの“パルミチン酸レチノール”や、クリニックで処方される医薬品“トレチノイン”などの種類があり、それぞれに安定性や効果の強さが異なります。
コメント: 土屋佳奈先生