コンサバーーそう一言でくくれないほど、この数十年でスタイルは変化しました。かつて『CanCam』にて「えびちゃんOL」「優OL」などメイン企画を担当したスタイリストの川村桃子さんと振り返る、コンサバフッション今昔。コンサバの歴史を噛みしめながら、最新きれいめファッションを楽しんで。
イラストで振り返る、コンサバファッションの変遷
「モテ」を大きく打ち出した『CanCam』が席巻した、00年頃。“えび売れ”などの言葉が派生するなど、全国20代女性の絶対的なカリスマだった蛯原友里さんがカバーガールのひとりだったこと、アラサーなら記憶しているはず。そのスタイリングを担当していたのが、もも姐こと川村桃子さん。当時を振り返る。

出典: by.S編集部
しかし03年頃、徐々に甘さが薄まると、コンサバの路線は“清潔感を重視した女子アナ風”にシフトする。
たとえば、男性が“モテを最優先したえびちゃんOL”を自分の母親に紹介するときを想像すると、きっと母親は「なんだかふんわりしすぎた子だなあ」と懸念を示すと思うんですよね。
そうしたたどり着いたのが、甘さがありつつも社会性を意識した“女子アナ風”でした。ロペのミルクティ色のワンピースと、首元にふわふわのファーがついたアウター、とか。
コメント: 川村桃子さん
男性の目を意識した「モテ」から、「彼親ウケ」へ。そうしたオフィシャルなモテはさらに加速し、05年頃のコンサバは、これまでを一新したキーワードを掲げることとなる。
甘さ一辺倒だった00年とは打って変わって、かっこよさを強調した“きれいなお姉さん”に。アイテムは、ワイドパンツ、ウエストコンシャスなパンツ、タイトスカート、白シャツ、とろみシャツ……など、大人の女性の落ち着きと華やかさを落とし込んだスタイルへ。
コメント: 川村桃子さん
そして時を経て17年頃、“オーバーサイズMIX”がジャンル問わず席巻し、その波はもちろんコンサバにも到来した。
オーバーサイズって、かつての常識では“カジュアル”の専売特許だったと思うんです。でも最近のそれはそうではなくて。
コンサバ女性とオーバーサイズの相性が合致したポイントは、“華奢見え”ではないでしょうか。女性がSUVなどの大きい車を「自分が華奢に見えるから」という理由で運転したがるのと同じように、オーバーサイズを“華奢見え”などのコンプレックス解消にうまく取り入れているのでは?
コンサバは、その垣根を崩しながらどんどん成長しているんですね。
コメント: 川村桃子さん
ボーダーレスのはじまりは、黒ライダースブームから
さて、“きれいなお姉さん”以降、コンサバとそれ以外のファッションジャンルが、徐々にボーダーレスになり「コンサバの枠が曖昧になったきっかけ」(川村さん)があるという。それは、コンサバ遍歴に欠かせない出来事のひとつ。
コンサバに黒ライダースが登場したんです。こういった強めアイテムをコンサバファッションに取り入れることは、数年前では考えられないことでした。その辺りからジャンルの線引きがぼやけ始めたのです。
コメント: 川村桃子さん
実はその芽は、00初頭、コンサバにカジュアル要素を取り込んだ“甘辛ミックス”にあったそう。『CanCam』では、押切もえさんが体現する“もえOL”が担当していたスタイル。
黒ライダース×甘めワンピとか、黒ライダース×チュールスカートとか。コンサバの可能性がぐんと広がった瞬間でしたね。
コメント: 川村桃子さん
最新・コンサバファッションのおしゃれ見せアドバイス
もも姐が提言する、コンサバのおしゃれ見せコーデのコツは、フェミニンやレディライクだけに頼らないこと。
テーマは“男前な女性”。かつ、“気負わない”“気疲れしない”アイテムを選ぶことも意識したいですね。それは単に楽に着られる服という意味ではなく、“攻めずに、半歩先をゆくアイテム”です。
「今季の新作コート、絶対予約しなくちゃ!」という感じで前のめりにならない一方で、トレンドはきっちりと抑えることで、ほどよく”半歩、先”に行くことができると思います。
コメント: 川村桃子さん
ハンサムで、気負わず、半歩おしゃれ。もも姐がアドバイザーを務め、昨春にデビューしたINEDのディフュージョンブランド「INEDCLARO」は、そのすべてのキーワードがマッチする、コンサバ女性の頼れるバディ。
手の届くトレンドを落とし込んだ、“これさえ抑えておけば”な、おしゃれ見えアイテムが豊富です。
コメント: 川村桃子さん
日々アップデートしているコンサバファッション。誰かの目を気にするでもなく、枠にとらわれるでもなく。自分らしさを表現できるところまで、コンサバは来ている。
取材協力 スタイリスト/川村桃子 illustration/green K
レベッカテイラーの甘いワンピに、ショルダーがぱふっとした半袖Gジャンを着せたり。そういった甘めなファッション路線が確立し、“えびちゃんOL”が出来上がりました。
コメント: 川村桃子さん