現在、多忙を極めた20代とはまた違った楽しさを再発見したという長谷川さん。気負いなく、それでいて途切れず仕事をしているさまは、働く女性の憧れの的。“ずっと需要のある人”が続ける、ある習慣とは。
20代→30代→40代、働き方の変化

出典: by.S編集部撮影
20代の長谷川さんは、ご存知の通り、全国の女子の憧れ“ハセキョー”。カリスマモデルは、多忙を極めていた。
30代は仕事をしつつも比重は子育てへ。物理的に、仕事にのめり込むことが難しい時期を過ごしたそう。
そして現在。「自分のことを少しずつ考えられるようになった」といういま、仕事に対する考え方がガラリと変化した。
いまは“セカンドステージ”という感覚です。
まず変化したのは、以前のような受け身の姿勢ではなく、自発的な動きができるようになったこと。そして、仕事で会う方と対等に話せるようになったと実感します。さまざまな経験を経て自信がついたんでしょうね。会話の中でプレゼンができるようになったり、コミュニケーションもうまく取れるようになりました。
コメント: 長谷川京子さん
以前は疑問だった、「年を重ねていくほど、どうしてあんなに楽しそうに仕事をするんだろう」という光景が、自らの身にも降りかかるようになったそう。
その理由がわかったんです。発言が実現しやすいんだな、だから仕事が楽しくなるんだな、と。
コメント: 長谷川京子さん
“伸びしろのある人”であるための習慣

出典: by.S編集部撮影
年齢にかかわらず、「誰でもいつまでも、伸びしろがある」と話す長谷川さん。
伸びしろづくりの基本は、公私の“私”を大事にすることではないでしょうか。おそらくいろいろな方がここ1,2年、「がむしゃらに働く」モードを抑え気味にしているとは思いますが、がむしゃらさを抑えて生活をメインにすると、気力がきちんと養われる気がします。
コメント: 長谷川京子さん
ライフとワークのバランス感覚を身につけて、どちらも充実させるのは理想的。「でも」と、長谷川さんは続ける。
でも、わたしも上手な時間の使い方、得意じゃないんですよ。やらなきゃいけないことをだらだら先延ばしにして、生活を圧迫したり。そういうときは、環境を切り替えるために外に出てやります。車の中やカフェなど。「家はオフの場所!」と決めて、効率的に仕事を回せるようにしています。
コメント: 長谷川京子さん
自分の心身の声を聞くために立ち止まることが、大人女性の伸びしろづくりに、大切な時間なのかも。
人付き合いでは、ジャッジをしない

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多忙を極めた20代、「忙しくてコミュニケーションをとる時間もなく、友達もいなかったんです」と振り返る長谷川さんの現在の人付合いは、「子どもが生まれ、母親としてこれまで交流したことがない方々とのコミュニティができ、交友関係が広がり、いままで身につけていた鎧を脱げるようになった」と、かつてよりも自然体で身軽。
わたしは職業や年齢、立場でジャッジしないですね。なかには「自分より上」「自分より下」でしか見られない人もいますが、わたしはそういう見方は苦手です。どんなひとも、“同じ”ですから。
コメント: 長谷川京子さん
そうしたポリシーは、子どもにも言葉で伝えるようにしている。
誰にでも挨拶をする人間になってほしいと思っています。だから小さい頃から「ちゃんと目を見て挨拶してね」「ありがとう、と、ごめんなさい、はちゃんと言おうね」と教えています。
コメント: 長谷川京子さん
うまくいかないときは、一歩引いてみる

出典: by.S編集部撮影
さて、がむしゃらさよりも大切なことがわかってきた現在。長谷川さんにも、スムーズに仕事が進まない瞬間があるそう。
以前は、仕事上でうまくいかないことがあると、真正面から一生懸命取り組もうとしていました。でも最近は、「上手くいかないな」と思ったとき、一歩、後ろに引いてみます。
コメント: 長谷川京子さん
たとえば、スムーズに撮影が進まないときのこと。
「どうしたら上手くいくの!?」と強引に進めず、「これが限界だな」と一旦引くんです。それは逃げているわけではなく「ここまでちゃんとやってきたんだから。私はきっと、これがマックスなんだ」と自分を肯定する意味でもあります。そうすると、原因が解明しなくともいい結果に流れる事が多いんですよね。
きっと、何年も仕事をやってきた女性は同じだと思います。いままで培ってきた能力があるはずだから、少し後ろに引いたって、たぶんできるはずですよ。
コメント: 長谷川京子さん
一歩引くと、スムーズにいかない仕事相手とのコミュニケーションの取り方にも、変化が生じる。
真正面からいくと、ケンカ腰だったり、ぶつかってしまうことがある。でも一歩引くと、相手に対する物言い方が変わるんです。
コメント: 長谷川京子さん
目的は、ケンカをすることではない。ゴールは、円滑に仕事を進めること。一歩引くと、そんなシンプルなことに、いち早く気づくことができるそう。
円滑にするために、その人にこう動いてもらいたい…となれば、自分の言い方ひとつで納得してくれるかもしれません。「あなたのこのやり方、私はすごく好きだけど、そうじゃない一面も見てみたい」とかね。
コメント: 長谷川京子さん

出典: by.S編集部撮影
一方で、自身が他の人間を引っ張る立場の場面もある。そんなときは、臨機応変に、一歩引くだけじゃない。
置かれている立場を客観的に見て、「ここはみんなのために、私がズバッと言うべきだな」というときは、ときには真正面から意見を言うことも必要です。
コメント: 長谷川京子さん
そんなときでも、「正論が、どんなときでも“絶対に正しい”なんてことはない」ことは、肝に銘じているそう。
白黒じゃなく、グレーで。そこに余裕や豊かさが生まれることを、長谷川さんは体現している。そんな大人の働き方、悪くない。むしろ、だからこそ楽しいのだ。
『長谷川京子 おいしい記録』(集英社)
2014年冬から2021年夏まで、7年半に渡り毎月書き続けた雑誌「LEE」のエッセイを書籍化した単行本が、9月3日に発売。女優、モデルの顔とは違う、“母としての素顔”が覗く1冊。ユーモア溢れる文章で綴られる飾らない本音から、美しさにうっとりするカラーグラビアまで、長谷川さんの魅力が凝縮。
photo/久保田智
ありがたいことにたくさんお仕事をいただき、とにかく忙しくて、自分のスペースに戻る時間すらありませんでした。そこに良し悪しはなく、ただただシンプルに忙しかった。
コメント: 長谷川京子さん